カール・アイカーンとドナルド・トランプ ~アメリカ大統領選挙に挑む投資家と不動産王~

imEKHX_AQtR0カール・アイカーン氏は、米自動車用品小売り大手ペップ・ボーイズ・マニー・モー&ジャックの買収をめぐってブリヂストンと買収合戦が繰り広げられていましたが、ブリヂストンが買収額を1株17ドルに引き上げたのに対してアイカーン氏は18.50ドルに上積みし、ペップ・ボーイズは受け入れで合意していたブリヂストンの案よりもカール・アイカーン氏の案のほうが優位な内容であるということでブリヂストンとの合意を破棄する意向を示したというニュースが飛び交っています。

また、アイカーン氏はアメリカ合衆国大統領選挙にも関わっており、世界中が注目している有力投資家です。

 

カール・アイカーン(Carl Icahn)

img1f978daczik7zjカール・アイカーンは、ニューヨーク市クイーンズ区に生まれたユダヤ人で、25歳のときにウォール街で働きはじめ、32歳で持株会社アイカーン・エンタープライズを設立し、総資産は125億ドルという巨大な資産家です。

また、カール・アイカーン氏は、投資家としても著名で、アップル(Apple Inc.)の株を0.93%、天然ガス開発会社チェサピーク・エナジー(Chesapeake Energy Corp.)の株式の11%、栄養補助食品メーカーハーバライフ(Herbalife)の株式の18%を所有している他、ヤフー(Yahoo! Inc.)、モトローラ(Motorola, Inc.)、ペイパル(Paypal Inc.)などの株を大量に所有し、アイカーン自身「チャンスさえあればあらゆる企業の経営権を握りたい」というような意味の発言を繰り返しており、こうしたチャンスのある企業の株は決して離さないとも語っています。

エネルギー、鉄道、航空、食品、レジャー、カジノ、通信、ITなど多岐にわたる企業を手がけており、デル(Dell Inc.)の株式を6%取得したなどの報道もあいまって「企業乗っ取り屋(Corporate Raider)」という異名を持つことでも知られています。

アイカーン氏は、世界情勢を懸念して自身のファンドから17億6,000万ドルを投資家へ返還した4日後、東日本大震災が起こり、野性的な勘により株価の下落を免れたと神がかった評価を得ています。

また、アイカーン氏自身のツイッターアカウントにて「現在、アップルの株式を大量に保有しているが、アップルは過少評価されている。ティム・クックと話し、自社株買いをするべきだと伝えた。」とツイートしたところ、株価が5%(時価総額2兆円以上)上昇し、世間を騒がせたという大物投資家らしい逸話もあります。

 

ドナルド・ジョン・トランプ(Donald John Trump)

p84ドナルド・ジョン・トランプ氏は、大学に通う傍ら父の経営する会社エリザベス・トランプ・アンド・ソンに入社し、父の後を継いでからはトランプ・オーガナイゼイションに社名を変更し、現在は同社会長以外にも不動産業において成功を収めた有力実業家としてアメリカの「不動産王」と異名をもつほど著名な実業家として知られています。

また、NBCのテレビ番組「アプレンティス」に出演し、歯に衣着せぬコメントが人気となりタレントとしても成功をおさめました。

2015年6月16日、トランプ氏は2016年アメリカ合衆国大統領選挙へ共和党から出馬することを発表しました。

「不動産王ドナルド・ジョン・トランプ氏が米国大統領になる可能性があるか知りたいのなら、政治評論家ではなく、投資家のカール・アイカーンの意見に耳を傾けるべきだ。」といわれています。

なぜなのでしょうか。

 

アメリカ合衆国大統領選挙

2015y12m30d_131005323つまり、政治的評価よりもアイカーン氏の一声で当選落選が決まるほどアイカーン氏は恐ろしい人物であるということですが、アイカーン氏は、人から怖がられているだけではなく、世間では「最も成功した投資家」として尊敬される存在でもあります。

また、ここに来て浮上したのが、共和党の大統領候補者であるドナルド・トランプ氏がアイカーン氏に財務長官就任を要請しているというのです。

もし、アイカーン氏が財務長官になったら投資資産を全て売却するか、運用を白紙委任する必要があるので初めは難色を示していたようですが、アイカーン氏は自身のツイッター上でトランプ氏の要請を受け入れると表明しました。

アイカーン氏が投資しているエネルギー分野における会社の株価が急落していることもあり、陰りが見えたのでは?という見方もあるようですが、アイカーン氏は株式投資以外にも優れた直観力があることで知られており、トランプ氏が大統領選を戦う上で必要不可欠な要因だと考えたのでしょう。

 

立候補者

アメリカ合衆国大統領選挙に立候補したのは次の23人。

民主党

  • ヒラリー・クリントン (前国務長官)
  • バーニー・サンダース (バーモント州選出上院議員)
  • マーチン・オマリー (前メリーランド州知事)
  • リンカーン・チェイフィー (前ロードアイランド州知事) 撤退
  • ジム・ウェッブ (前バージニア州選出上院議員) 撤退
  • ローレンス・レッシグ (ハーバード大学法学教授) 撤退

共和党

  • テッド・クルーズ (テキサス州選出上院議員)
  • ランド・ポール (ケンタッキー州選出上院議員)
  • マルコ・ルビオ (フロリダ州選出上院議員)
  • カーリー・フィオリーナ (元ヒューレット・パッカードCEO)
  • ベン・カーソン (元医師)
  • マイク・ハッカビー (元アーカンソー州知事)
  • リック・サントラム (元ペンシルベニア州選出上院議員)
  • ジョージ・パタキ (元ニューヨーク州知事)
  • リンゼー・グラム (サウスカロライナ州選出上院議員) 撤退
  • リック・ペリー (前テキサス州知事) 撤退
  • ジェブ・ブッシュ (元フロリダ州知事)
  • ドナルド・トランプ (実業家)
  • ボビー・ジンダル (ルイジアナ州知事) 撤退
  • クリス・クリスティ (元ニュージャージー州知事)
  • スコット・ウォーカー (ウィスコンシン州知事) 撤退
  • ジョン・ケーシック (オハイオ州知事)
  • ジム・ギルモア (元バージニア州知事)

 

2d6e99c0bc213c5ef71c5bd2bcdc6df4最後にアイカーンが発したお気に入りの台詞を紹介しましょう。

「これまで、多くの人が独裁者との闘いに敗れ死んでいる。私にできる最低限のことは、経営陣に対して反対票を投じることだ」

現在、ドナルド・トランプ氏の支持率はトップと報道されており、このままアイカーン氏とともに不動産王と有力投資家としての直感を発揮し、アメリカの経済回復をさらに推進するのか、はたまた敗れ去ってしまうのか。

どちらにせよ大統領選挙に目が離さなくなりそうです。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう