ハモ【鱧】|豊富なコラーゲンと高血圧症に効果あり

ハモは、ウナギ目ハモ科の海産の硬骨魚。
全長は1m前後だが、大きい個体は2mに達することもあります。
関東では小骨が多いためあまり好まれませんが、関西では夏を代表する味覚として人気があります。

ハモには硬くて長い骨が多く、食べる前には「骨切り」という処理が必要です。
骨切りは皮まで切らないように一寸(3cm)に20回以上1mm間隔で包丁を入れることから、店で食べる高級なハモ料理の大半はこの技術料とも言えます。
広島ではハム、九州地方ではウミウナギと呼ばれることもある。

旬は6月~8月。
カロリーは100gあたり・・・(生)144kcal

 

鱧祭(はもまつり)

鱧祭(はもまつり)、淡路の国がかつて御食国(みけつくに)と言われた淡路島から宮中に鱧(はも)を献上していたことに因んで行われているそうです。
はもの奉納は2009年(平成21年)から淡路島観光協会が主催して行われています。
なお淡路島の鱧ははも延縄(はえなわ)により、一匹ずつ釣り上げることから傷が少なく、べっぴん鱧・黄金鱧とも言われているそうです。
京都祇園祭が「鱧祭(はもまつり)」とも呼ばれることにちなみ、兵庫・淡路島産のハモをPRする「はも道中」の一行が4日、八坂神社(京都市東山区)を訪れ、ハモ10匹を奉納した。

淡路の国が「御食国(みつけくに)」として朝廷にハモを献上していたことにちなんだ淡路島観光協会(兵庫県洲本市)などの恒例行事。
今年で10年目を迎えた。
ハモは祇園祭が開催されるこの時期に旬を迎え、地元町内でも多く食されることから、鱧祭とも呼ばれるようになったという。

観光大使クイーン淡路や京都・島原の葵太夫ら約80人が参加。
一行は境内の舞殿の周りを「淡路島から、はも道中」と声を合わせながら練り歩き、本殿に奉納した。
その後、ハモやタマネギなどを使った郷土料理「ハモすき」300食も振る舞われ、三重県四日市市の介護福祉士、宮地尚子さん(61)は「ハモが肉厚で、とても上品な味わいです」と話していた。

 

食材データ

種類:魚類
旬の季節:

主な効能

疲労回復
体力向上
免疫力向上
動脈硬化
高血圧症
美肌効果
骨粗しょう症

※効能は栄養成分などから一般的に効果があると考えられているものを記載しています。効果を保証するものではありません。
 また実際にこれらの症状がある方はまず医師に相談してください。

 

栄養成分

成分としては、タンパク質、脂質、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ナイアシン、パントテン酸)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リン、鉄、亜鉛などを含みます。

むかしハモはウナギと同様にビタミンA(レチノール)が豊富といわれていましたが、どうやら四訂日本食品標準成分表が間違っていたようで、五訂日本食品標準成分表ではレチノール量が600μgから59μg(1/10)に減ってしまいました。
従ってビタミンA(レチノール)は多くありません。

ビタミンAは減ってしまったものの、ハモには良質なタンパク質が多く含まれており、免疫機能の向上、体力向上、疲労回復効果があります。
また、脂質を構成する脂肪酸は一価不飽和脂肪酸のオレイン酸と多価不飽和脂肪酸のオメガ3系に分類されるドコサヘキサエン酸(DHA)が多く、血中の悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪を減らす働きがあります。

ミネラル類ではカリウムが多く、ナトリウム(塩分)を尿とともに排泄してくれるので高血圧の予防に効果があります。
また、ハモは骨ごと食べることになるのでカルシウムも豊富に摂れます。

さらにハモの皮には化粧品などにも使用されるほど良質なコラーゲンが多く含まれており、肌老化を予防してくれます。

 

特徴

是非とも注目して頂きたいのがビタミンAとビタミンB9の含有量です。ともに100gで見た場合、ウナギは2400μg。
それに対し、ハモは59μgと、あまりの差に、思わず“流石はウナギ!!”とばかりの歓声を上げたくなります。
事実、免疫力や目の機能を高めるビタミンAは、元気で長生きを実現するためにはなくてはならない栄養素。
ウナギが健康食品として支持される最大の理由は、このビタミンAの豊富さにあると言っていいでしょう。

ビタミンAは摂りすぎ要注意

水に溶けない脂溶性のビタミンAは、必要以上に摂取すると、余分な油分となって血中や肝臓に蓄積されます。
すると、肝機能低下から様々な不具合を来すため、1日の上限摂取量が定められていて、それが3000μg。
さらに、妊婦の場合は、ビタミンA過剰症による奇形児の誕生リスクが高まるところから、1日の理想が600μg、上限が1500μgと指示されています。
つまり、ウナギで栄養をというプレママの親心は、おなかの中の赤ちゃんにとってはありがた迷惑なのです。

妊婦に大切な葉酸(ビタミンB9)

一方で、知的障害や下半身の運動機能麻痺という症状を持つ事の多い「先天性神経管閉鎖障害(せんてんせいしんけいかんへいさしょうがい)」の発症リスクを大幅に下げるのが葉酸こと「ビタミンB9」。
しかも、このビタミンは水に溶ける水溶性のため、多めに取り込んでも、必要量だけ使うと後は尿と一緒に排泄されてしまいます。
そこで、五体満足で丈夫な赤ちゃんを産むためには、毎日しっかり摂取しなければならないのです。

そのビタミンB9の含有量を見ると、ウナギは100gあたり14μgなのに対し、ハモは21μgと断然多い!
こうなると、特に葉酸を必要不可欠とする妊娠初期は、ビタミンAの過剰摂取を大幅に抑えられると同時にビタミンB9をたっぷり得られるハモこそ、理想の栄養食なのです。

豊富なミネラル

私たちの生命維持に必要不可欠だとされる必須ミネラルは16種類。
そのうち、カルシウム・リン・カリウム・硫黄・塩素・ナトリウム・マグネシウムの7つは、身体を正常に維持していくために1日100mg以上の摂取を義務付けられている「主要アミノ酸」です。
その他、亜鉛・クロム・コバルト・セレン・鉄・銅・マンガン・モリブデン・ヨウ素の9つの成分も必須ミネラルですから、数量的な定めはなくても意識的な摂取は絶対条件なのです。

そんな必須ミネラルのうち、半分以上の9種類がハモには含有されています。
特にカリウムは450mg、リンは280mgと、ハモをたった100g食べるだけで、1日の必要量が十二分に賄えるのです。
さらに、ナトリウムも66mg、カルシウムも79mgですから、1日の必要量の半分以上を調達できます。
これにプラスして、鉄や銅、亜鉛、マンガン・マグネシウムも補充できるという事で、まさしく栄養機能食品であると言えるでしょう。

 

種類

ウナギもハモも同じ「脊索動物門・脊椎動物亜門・条鰭綱・ウナギ目」の魚類。
ただし、ウナギは淡水魚なのに対し、ハモは海水魚です。
太平洋の荒波にもまれながら、自らも身体をくねらせ逞しく泳いでいます。
だからこそ、余分な脂肪がなく、引き締まった筋肉質で淡泊な味わいを堪能できるという訳です。

主な漁場:福島県以南、東シナ海。黄海、インド・西太平洋。水深100メートルよりも浅場。
生態:水深100メートルより浅い砂泥地に棲息。
主な産地:大分県、熊本県、徳島県、山口県、和歌山県、長崎県。紀伊水道、瀬戸内海、九州などが名産地。盛んに釣り漁、底曳き網漁が行われている。
輸入:中国、韓国

ハモを好むのは関西など。
産地でもある大阪では庶民の味でもあり、スーパーなどにも普通に並んでいる。

しかも、ハモは海ではちょいと恐れられる肉食魚。
目の後ろまで裂ける口に、鋭い歯が多数並び、獲物を見つけようものなら、すっと近付き、大きな口でパクり!
あとは強靱な歯でボリボリと砕いて美味しそうに味わいます。
特にカニやエビ、イカといった甲殻類が大好物のグルメ魚だけに、私たち人間は一層美味しく食べられるのでしょう。
そこが、川で虫やザリガニなどを食べている天然ウナギとの大きな違いの一つです。

また、ハモは非常に生命力が強く、真夏に水揚げされるにも関わらず、数日は生き延びる事が出来ます。
太平洋から遠く離れた京の都で夏の風物としてもてはやされるようになったのは、その日持ちが理由です。
ただし、いくら鮮度のいいハモでも、生では食べられません。
何故なら、その血液中には「イクシオトキシン」という毒が入っているからです。
もっとも、フグのように人の生命を脅かすほど強力の毒素ではありませんが、それでも下痢をする可能性は高く、体調不良の時なら大事に至る事も考えられるでしょう。

そこで、加熱し血中のイクシオトキシンを完全に分解してから食するのが鉄則となっています。
これはウナギも同様なのですが、ウナギと異なり、淡泊な魚だけに、その調理法は幅広いのが嬉しい。
それこそ、刺身以外は何でもありという感じで、定番の湯引きから焼き物、揚げ物、そして鍋物まで異なる味わいを楽しめます。

鱧の選び方

大きなものは雌でうまい。
小さな60センチ以下の青みがかったものは雄なので選ばない。
ハモは雌がおいしく、雄は脂が少ない。
体表が輝いているもの。
ぬめりに透明感のあるもの。
活けは硬直していないものを、活け締めされて入荷してきたものは、死後硬直前、もしくは死後硬直状態にあるものを選ぶ。

 

レシピ

ハモしゃぶ

個人的には目の前で湯引きする「ハモしゃぶ」がお薦め!
暑い時に鍋という事で驚かれるかも知れませんが、京都の旦那衆の間では、高雄(たかお)や貴船(きぶね)の川床、あるいは、鴨川沿いの納涼床(のうりょうゆか)で川風を浴びながらハモ鍋をつつくのが夏の道楽の一つとされているのです。
しかも、ハモ鍋なら、野菜もふんだんに食べられますし、締めはご飯を入れてハモ雑炊!! 至福の一時に身も心も満腹できる事でしょう。

 

鱧吸い

鰻巻きのこと。
白焼き、またはかば焼きを芯にして巻いた卵焼き。
見た目も綺麗で、ボリュームもあり、食べ応え満点。
お酒のつまみにすれば、パクパクいけてしまう。

 

土瓶蒸し

夏の味覚と言えば、鰻の蒲焼き。

今でこそ、値段を気にしながら購入しなければならないが、元は江戸開発時に泥炭湿地ができてウナギが棲みつき、これを労働者が食したのが蒲焼きの始まり。

蒲の穂のような状態にぶつ切りにして串刺しで焼かれた蒲焼きは、安価な屋台料理と同等だったという。

ハモの湯引き

梅肉に限らず、ポン酢、ゆず塩、抹茶塩などお好みのもので。
いろんな味わい方ができるので、飽きずに楽しめます。
プリプリの食感を自宅でご堪能ください。

鱧の白焼き

 

ハモ【鱧】|豊富なコラーゲンと高血圧症に効果あり まとめ

ウナギにはビタミンAを筆頭に、様々な栄養分が豊富に含まれていることがわかりました。

ウナギにまつわる調理法は日本に根付いた文化であり、物心つく頃には「夏バテにはウナギ!」という認識がしっかり刷り込まれているほどです。

シラスウナギの漁獲量が年々減少していく中、卵からウナギへの完全養殖の技術の確立が一刻も早く望まれてやみません。

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