キャベツ|抗潰瘍作用を持つキャベジンは、胃腸トラブルの強い味方

キャベツ……と考えを巡らせてみると、「トンカツを注文すれば、付け合わせとして必ずついてくるキャベツ」が思い浮かびませんか?

大体のトンカツ専門店では、注文したトンカツが揚がる前から「キャベツ食べ放題」になっていて、待つ間にたくさんのキャベツを食べることができます。

この組み合わせを考案したのは、日本で最初にトンカツを客に提供した銀座の洋食店「煉瓦亭」でした。

最初は、パン粉をつけて焼いた薄切り仔牛肉の上にチーズを載せ、それにバターソテーした温野菜を添えて提供していました。

ですが、乳製品ゴリ押しのレシピをクドく感じたのか、付け合せの温野菜がバター臭かったのか、当時の人たちの味覚に合いませんでした。

それでは、と牛肉を豚肉に替え、油でカラリと揚げたのがトンカツの始まりです。

試行錯誤した結果、付け合せはキャベツに決定しました。

当時の日本には生野菜を食べる習慣はありませんでしたが、兵役に召集された料理人も多く、できるだけ手間をかけずに済むものをという意図から、生キャベツを刻んだものが付け合せに選ばれたのです。

これが功を奏して、店は大繁盛!

以降、キャベツの付け合せは定番となりました。

今では、「トンカツとキャベツ」は切っても切れない縁で結ばれていますよね。

食べ合わせの観点から見ても良い組み合わせです。

キャベツ

キャベツには、胃腸の粘膜の新陳代謝を活発にするビタミンUという成分が含まれています。

ビタミンUは、別名「キャベジン」とも呼ばれます。

キャベジンは、傷ついた胃腸粘膜を修復する働きがあり、(胃潰瘍などの)抗潰瘍作用も持っています。

ひたすらトンカツばかり食べるのでは胃もたれしそうですが、キャベツと一緒に食べることで、胃腸が健全に働くように手助けしてくれるのですね。

古代ギリシャの哲学者でもあり、数学者でもあったピタゴラスは、キャベツの効能を「活力と精神の沈着を保つ」と説き、品種改良も試み、「 ピタゴラスキャベツ」と呼ばれるキャベツの新種を生みだしました。

また、アレクサンドロス大王がキャベツを推奨し、兵士に食べさせたという逸話もあります。

 

食材データ

種類:葉菜類
旬の季節:春・秋

主な効能

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、肝臓病の予防と改善
ガン予防
去痰

 

栄養成分

淡色野菜であるキャベツには、ビタミンミネラルが豊富に含まれています。

ビタミン群では……ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB 6、葉酸、パンテトン酸、ビタミンC、ビオチン、ビタミンE、ビタミンAなど。

ミネラル群では……カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、クロム、モリブデン、鉄、亜鉛、リンなど。

ビタミンAは免疫力アップに繋がり、ビタミンB群は疲労回復に効果を発揮、ビタミンCは免疫力を強くし、更には抗ガン作用もあり、ビタミンKは骨の健康を保ち、更には止血作用も認められています。

ミネラル群の筆頭成分でもあるカリウムは、ナトリウムの排出を促す成分でむくみを予防・改善し、高血圧予防にも働きます。

日頃、不足しがちなミネラル分を、キャベツを食べることで摂れるのがいいですよね。

カット野菜として売られているキャベツや、大型チェーン店などで出されるキャベツが「塩素臭い」理由は、細菌汚染を防ぐ目的で「次亜塩素酸ソーダ水」に切ったキャベツを浸けておくことがあるせいです。

濃度が濃すぎると消毒臭(「塩素くさい」臭い)が残ってしまいます。

浸けられた刻みキャベツが次亜塩素酸ソーダ水を吸収してしまい、キャベツが塩素くさくなるというワケです。

また、キャベツには、硫黄を含むゴイトリンという成分が多く含まれています。

ゴイトリンには甲状腺ホルモンの生産を抑制し、甲状腺への「ヨード」の取り込みを邪魔する作用がありますので、キャベツをあまりに過剰に食べ過ぎると、それが甲状腺ホルモンの不足につながります。

不足したホルモンを補うために甲状腺を刺激するホルモンが分泌され、甲状腺が腫れてしまうことが考えられます。

ですが、甲状腺に何ら病状を持たない人では、キャベツを過剰に食べない限り、全く心配ありません。

芽キャベツ
芽キャベツ

ゴイトリンは、アブラナ科のキャベツ、芽キャベツ、セイヨウアブラナなどに含まれています。

キャベツには、イソチオシアナートという「硫黄化合物」の成分も含まれています。

アブラナ科の野菜であるキャベツ、大根などに含まれており、ガン抑制効果が高いとして注目を浴びている成分ですが、腸内でガスを発生させるため、大量にキャベツを食べると、卵が腐ったようなイオウ臭のおならが出る原因にもなります。

イソチオシアナートには、発ガン抑制作用や殺菌作用、食欲増進効果などがあるとされます。

また、キャベツにはインドール化合物というものも含まれており、ビタミンCと共にガン予防に効果を発揮します。

潰瘍や胃炎が既にある場合は、生キャベツの繊維が消化を妨げることがありますので、キャベツ汁などに調理して食べれば良いでしょう。

キャベツに含まれるインドール化合物が、大腸ガンや乳ガンの悪性細胞分裂や増殖を抑制する、との報告もあります。

前述通り、キャベツで特筆すべきことは、ビタミンU(英語で潰瘍を表す「ulcer」の頭文字をとった)が大変豊富なことです。

ビタミンUは胃腸粘膜の新陳代謝を活発にし、傷ついた粘膜の修復に役立つほか、脂肪肝を予防する働きもあるのです。

 

特徴

ジンギスカン鍋
ジンギスカン鍋

「煮込む」、「炒める」調理法で、生キャベツの3倍の量を食べることができます。

ビタミンU(キャベジン)が胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防と改善に効果を発揮します。

アレルギー症状を緩和する効果もあります。

キャベジンは水溶性で熱に弱いので、できれば生で摂り込みたいものです。

野菜ジュースにキャベツを入れて飲むなど工夫しましょう。

加熱する場合には、「手早く茹でる」、「一気に炒める」のが良いでしょう。

小麦や乳製品は痰を増やす食品とされます。

植物由来の飲み物を飲んで、痰の液化を図りましょう。

野菜スープを飲むのが有効とされますので、キャベツスープも痰を切れやすくするのにお勧めです。

キャベツに含まれる豊富な食物繊維は、整腸と便秘解消に効果があります。

和風、洋風、中華風を問わず様々な料理に使われます。

また、糠漬けのキャベツの漬物、ドイツの漬物「ザワークラウト」にも利用されます。

キャベツを購入する際は、葉に張りがあり、芯の切り口が瑞々しいものを選びましょう

 

種類

春キャベツ
春キャベツ

キャベツは播種や収穫期の違いにより、「春キャベツ」、「夏秋キャベツ」、「冬キャベツ」に分けられます。

主な産地は、千葉、神奈川、愛知、兵庫、福岡など。

通常の「キャベツ」のほか、「グリーンボール」、「レッドキャベツ」、「ケール」、「芽キャベツ」などがキャベツの仲間です。

 

レシピ

豚バラキャベツの炒め物

市販されている香味ペーストなどで味付けすれば、アッと言う間に、おかずが一品出来上がり!

豆板醤を入れて辛味をつければ、ご飯がどんどん進むこと請け合い。

 

ロールキャベツ

巻き方が難しいロールキャベツ。

一枚だけで巻くのではなく、小さいキャベツの葉と大きいキャベツを組み合わせて巻けばOK。

コンソメスープにゴロゴロ放り込めば、見た目もインパクト大。

ボリュームあるロールキャベツスープでお腹も大満足。

 

キャベツ 抗潰瘍作用を持つキャベジンは、胃腸トラブルの強い味方 まとめ

特筆すべきは、キャベツに含まれる「ビタミンU(キャベジン)」。

傷ついた胃腸粘膜を保護し、修復する働きがあり、抗潰瘍作用にも効果を発揮。

加えて、豊富な食物繊維が便秘の改善に働きかけます。

まさに、「キャベツは胃腸トラブルに悩む方の強い味方!」です。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう