ソバ【蕎麦】|ソバに含まれるポリフェノールが毛細血管を強くする

ソバはタデ科ソバ属に属す植物で、蕎麦(ソバ)とは、ソバの実を原料とした「ソバ粉」を使って調理した日本の麺類のことです。

ソバ好きの方は多く、「ソバの粋な食い方」にこだわる方もいれば、ソバ好きが高じ、ついには自分で麺を打たないと気が済まない、という域に達した方もいるでしょう。

  • 大晦日に行きつけのソバ屋で「年越しソバ」を食べる
  • 引っ越した先で「引っ越しソバ」を配る
  • 通勤途中に「立ち食いソバ」を食べる

などと、我々の生活には欠かせないソバですが、古く平安時代には、「ソバが食べ物である」という認識すらなかったといいます。

平安時代中期の歌人である藤原道命(藤原道長の甥にあたる)が、ソバ料理を出されてひどく驚き、「食膳にも据えかねる料理」と和歌に詠んだとされています。

つまり、ソバは飽くまでも庶民の食べ物。

それも、農民が飢饉に備えて細々と栽培するほど、あまり価値のない雑穀だった、といわれています。

今のように麺状にはせず、粒のまま粥にしたり、練って餅状にして食べたり(ソバがき)、ソバ粉を水で溶いて焼いたりして食べていました。

麺状にしたソバのことを「ソバきり」と呼び、徐々に「ソバがき」より主流となりました。

「蕎麦作りに飢饉なし」

ということわざがあります。

「ソバは痩せて荒れた土地でも早く発芽するため、凶作に備えることができる」という意味です。

食料の乏しい山寺の和尚さんが裏山でこっそりとソバを栽培し、弟子の小坊主さんたちに見つからないようにソバ打ちして黙って食べてしまう、なんていう昔話もあります。

 

食材データ

種類:穀物類
旬の季節:夏~秋

主な効能

肥満、脳血管障害、認知症の予防
むくみ、便秘の改善

 

栄養成分

ざる蕎麦

ソバの特産地は、信州、出雲、盛岡、秩父などの寒冷地です。

マクロビオティック(従来の食養に陰陽の理論を交えた食事法及び思想)の観点から見れば、体を温める作用がある陽性食品に分類されます。

ですが、これはソバを単体で考えた時に当てはまるわけで、小麦粉を混ぜた「二八蕎麦」などでは陰性に傾きます。

漢方の観点から見れば、ソバは、「涼:少し身体を冷やす」に分類されます。

効能は、「気逆(きぎゃく)を治し、消化不良による腹の張りや腹痛を改善する」です。

ソバ粉は、色が薄いより黒い方が栄養分が多いと言われており、カルシウムなどのミネラル成分、ビタミンB1ビタミンB2などのビタミン群の含有量が豊富です。

ミネラル群では、特に銅とマグネシウムの含有量が多いです。

良質なタンパク質、消化しやすいでんぷんを含むとともに、毛細血管を強化し、出血性の疾患(脳血管障害など)を防ぐ「ルチン(ビタミンP)」を含んでいます。

「ルチン」は、穀類では唯一、ソバだけが含んでいるといわれています。

別名ビタミンPとも呼ばれ、ポリフェノールの一種です。

「ルチン」は血管の強化に働き、更には抗酸化作用もあります。

出血性の疾患予防効果に加え、心疾患を予防する効果や、生活習慣病の予防や改善などが期待できます。

認知症を防ぐ効果もあるといわれています。

ビタミンCの吸収促進効果もあるため、ルチンとビタミンCの併用で更なる効果を発揮します。

ソバに含まれるコリンは、脂肪肝の予防効果があるとされます。

飲酒後にさっぱりしたソバを食べたくなるのは、こうした理由で、体が本能的に訴えてくるからなのでしょうか?

食物繊維もたっぷりと含まれており、それが腸内環境を整えてくれ、便秘の予防や肥満防止に働きかけます。

元禄10年出版の食材百科事典 「本朝食鑑」に、「ソバを食べれば気分が穏やかになる」、「食欲がわく」、「胃腸の働きを活発にするので便通が良くなる」、「ソバ湯を飲むと体に良い効果を与える」等々の記述があるそうです。

栄養分析技術の無い時代に、良くここまでの効能がわかっていたものだ、と感心するばかりです。

 

特徴

手打ち蕎麦

ソバ粉10割(生そば)を「十割蕎麦」、 ソバ粉8割、小麦粉2割(田舎蕎麦)を「二八蕎麦」、 1番粉使用(御膳蕎麦)を「更科蕎麦」と呼びます。

ソバ粉の量により、口当たりや醸し出てくる旨味が違います。

単体で食べるソバも人気ですが、とろろを入れた「冷やしとろろソバ」、天ぷらを添えた「天ぷらソバ」等々の様々なレシピがあります。

ソバを食べ終えた後に(店によって違うが)出てくる濃度の高い蕎麦湯には、デンプン質とタンパク質が蓄積されています。

ソバはアレルギー物質を含む食品として食品衛生法により、「特定原材料を含む」旨の表示が義務付けられています。

ソバアレルギーの人が食べると、「喉がイガイガして痒い」、「蕁麻疹が出た」などの初期アレルギー症状を起こす場合もあれば、最悪の場合は「アナフィラキシーショック」を引き起こし、生命に危険を及ぼす場合もあります。

 

種類

蕎麦

ソバは世界的に栽培されています。

ロシア、中国、ウクライナ、フランス、ポーランド、アメリカなど。

国内では、北海道、長野県、茨城県、山形県、島根県などです。

栽培種は、春播き夏採りの「夏ソバ」、夏播き秋採りの「秋ソバ」の2つの生態型に分かれます。

収穫が多く味も良い「秋ソバ」は「新ソバ」と呼ばれます。

北海道産、北米産、中国産などの産地でソバ粉の違いを区別します。

 

レシピ

ソバ焼き

時間が経ってボソボソに固まってしまったソバをアレンジ。

ネギ、卵、薄力粉などを入れて焼けば、ふっくらしたお好み焼き風に。

出汁につけて食べても良し、お好み焼きソースで食べても美味しい。

 

ソバを揚げておつまみに

余ったソバを油でカリカリに揚げておつまみに。

時間が経ってくっついてしまったソバが美味しいおやつとして蘇ります。

ブラックペッパーなどの調味料で味を引き締めて。

 

ソバ【蕎麦】 ソバに含まれるポリフェノールが毛細血管を強くする まとめ

ビタミン群や、豊富な食物繊維を含んだソバが腸内環境を整え、便秘予防や美肌作りに働きます。

穀物ではソバだけが含んでいる「ルチン」はポリフェノールの一種です。

「ルチン」には血管強化作用と抗酸化作用があり、出血性の疾患を予防します。

生活習慣病や、認知症予防にも効くとされます。

ルチンは、ビタミンCとの併用が効果的です。

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