タラ【鱈】|脂質が少なく、低コレステロールでダイエットに最適

タラは、身肉や腹が雪のように白いので「鱈」と書かれますが、これは和製漢字です。

古くは、成魚のタラが貪欲で大きな口を開けて餌を捕食する様子から「大口魚」と呼ばれていました。

「たらふく食べる」の語源は「タラ腹(鱈腹)」から来ていると言われています。

「初雪の頃から漁獲される魚だから」、「切っても身が白くて血が「タラない(足らない)から」というような語源説もあります。

日本では寒い時期の汁物(タラちり)に欠かせない食材として知られています。

また、乾物に加工され、国内の隅々にまで行きわたり、特に山間部では冬場の重要なタンパク源となってきました。

旧日本軍では、ビタミンB不足による症状(脚気など)への予防措置として、干しダラ、人参、馬鈴薯、タマネギを使ったシチューのレシピが「軍隊調理法」という教本として各部隊に配布されたそうです。

タラはあっさりして癖がなく食べやすい魚で、煮込むほど美味しくなります。

これをうまく言い表したことわざに、「タラ汁と雪道は後が良い」というのがあります。

「タラ汁は、煮込めば煮込むほど身肉が締まって骨離れ良く、旨い出汁が出る。大勢の人が通った後の雪道は踏み固められて歩きやすくなる」という意味です。

日本では、「タラ(鱈)」と言えば、すぐに汁物を思い浮かべる人も多いでしょうが、イギリスでは「フィッシュ&チップス(タラなどの白身魚のフライに、棒状のポテトフライを添えた物)」ですね。

世界のタラのおよそ30%分を食べている国民だそうです。

その歴史は長く、20世紀初頭のロンドンには、およそ1200軒のフィッシュ&チップスの店があったそうです。

フィッシュ&チップスに酢と塩をかけて食べるのが、イギリス伝統スタイルの食べ方。

所かわってスペインでは、名物の干しタラを使ったコロッケが美味しいそうです。

 

食材データ

種類:魚類
旬の季節:

主な効能

健脳、認知症予防
保温、利尿作用

 

栄養成分

真鱈の切り身

タラとは、タラ目タラ科の魚の総称で、日本近海では「マダラ」、「スケトウダラ」、「コマイ」の3属3種が分布しています。

一般的に「タラ」といった場合「マダラ」を指すことが多いですが、北海道や北陸では「スケトウダラ」のことです。

良質なタンパク質を豊富に含んでおり、脂肪含有量が少なく、低カロリーで、とてもさっぱりとした風味の白身魚です。

ダイエット中の方、肥満や生活習慣病で悩んでいる方にもお勧めの食材です。

青魚に多く含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)はマグロには及びませんが、タラにも勿論含まれています。

DHAは我々の脳や神経に存在しており、食材から積極的に摂り込むことで、健脳効果や認知症予防効果が期待できます。

また、タラの肝油に含まれる脂質は多価不飽和脂肪酸というもので、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)が豊富なだけではなく、ビタミンAビタミンDも豊富です。

視力や免疫力向上、骨や歯の形成に働きかけます。

肝油に糖分を加えた物が肝油ドロップです。

以前は、タラなどの魚の肝臓の油を濃縮して製造していた肝油ドロップ(乳幼児や成長期の子供たちの格好の栄養食品)ですが、現在は魚の油からではなく、医薬品の規格に添って、ビタミンAやビタミンDを混ぜ合わせた原料を使って製造されています。

たらこ

タラコ(鱈子)は、タラの卵巣(魚卵)及びそれを加工した食品のことを言い、一般的に「タラコ」と呼ばれるものは、スケトウダラの卵巣を塩漬けにしたものを指しています。

シラコ(白子)は、魚類(タラ、アンコウなど)の精巣を食材とする時の呼び名です。

タラの白子はフグの白子に匹敵するほど味が良く、酢の物や汁物や鍋物に調理して食べます。

タラコは塩分及びコレステロールが高く、白子もアンコウやフグではコレステロールが高いですが、魚の種類によっても違います。

タラ本体にはコレステロール値を下げる効果があるタウリンも含まれています。

タラコや白子ばかり食べ続けない限り、それほど神経質になる必要はないでしょう。

東洋医学では、タラは、養血(ようけつ)の食材です。

気を補い、血を補い、肺を滋養する作用があるとされています。

新鮮なタラを汁物にして食べることで、身体が温まります。

タラに含まれるアミノ酸の一種に、利尿作用や二日酔い改善効果があると言われています。

 

特徴

寒い時期の生タラの身は癖もなく、旨味が凝縮されています。

旬は冬で、寒くなるほど旨味が増します。

透明感のある白身で、加熱しても硬くなりません。

皮は少し厚みがあり、骨の軟らかい魚です。

購入する際は、身がしっかりと張っており、目が澄んでいてエラが鮮紅色のものを選びましょう。

 

種類

世界では、ロシア、アメリカ、ノルウェーなどが産地です。

国内では、北海道、宮城県、岩手県、青森県、新潟県、秋田県などです。

アメリカなどからの輸入物のタラも多く出回っています。

日本近海で「マダラ」、「スケトウダラ」、「コマイ」の3属3種が分布しています。

 

レシピ

タラのムニエル

オリーブオイルで両面を良く焼いたタラにバター醤油をかけて。

タルタルソースやマスタードをかけても美味しくいただけます。

 

タラちり鍋

タラの切り身と春菊、豆腐であっさり作るも良し、たらの白子やたらの真子を加えると見栄えも豪華なちり鍋に。

よく煮込むと旨味も増す。

タラちり鍋

 

タラ【鱈】 脂質が少なく、低コレステロールでダイエットに最適 まとめ

成魚のタラが貪欲で大口を開けて餌を食べる習性から「大口魚」と呼ばれていましたが、現在では雪のように白い身肉から(諸説あり)、「タラ(鱈)」と呼ばれて、タラちり鍋は冬の味覚に欠かせないものとなっています。

脂質が少なく低コレステロールで、加熱するほど身離れがよく、あっさりとした食べやすい魚です。

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