ウニ【雲丹】|身は生殖巣。滋養強壮効果のある日本三大珍味の一つ

日本三大珍味と言えば「ウニ」、「カラスミ」、「コノワタ」です。

北海道で獲れるエゾバフンウニは、ウニの中でも最高の珍味として重きを置かれています。

因みに、世界三大珍味は「トリュフ」、「キャビア」、「フォアグラ」です。

これらが、食材自体が稀少でなかなか入手が難しいために世界三大珍味の座を得ている(トリュフ、キャビア、フォアグラを「美味!」と感じるのは日本人にとっては難しいようです)のに比べ、日本の三大珍味は「最高のお酒の友」としての堂々たる位置を占めており、その味も「まさに絶品!」なのです。

ウニは、海からの贈り物。

新鮮なウニを口に入れれば、微かな潮の香りが一瞬鼻腔をくすぐり……

次の瞬間、まろやかで濃厚なウニの旨味が口いっぱいに広がっていきます。

鮮度の良いウニは全く生臭くなく、ウニをご飯に入れて炊き上げれば、まるで栗ご飯のようなホクホクと美味しいウニご飯になります。

見た目の形状から「海栗」と名付けられたのでしょうが、炊き立てのご飯と一緒に頬張るウニの味は、まさに栗のような香ばしさです。

普段食べている部位は、ウニの生殖巣にあたります。

ウニは雌雄異体なので、雌のウニなら卵巣、雄のウニなら精巣が食用になります。

雌雄の区別は難しく、顕微鏡を使わないと判別できません。

ウニは、ナマコやヒトデなどと同じ棘皮動物の一種です。

 

棘皮動物とは、体表にトゲがある動物という意味。

地上の動物で言えば丸まったハリネズミをイメージできます。

ウニは、深海から磯に至るまでの世界中の海域に生息しており、その多くは名前の示す通り、全身にトゲをまとっています。

トゲは外敵から身を守るため、また、移動手段や体を固定するためにも用いられます。

中には、トゲに毒を持つウニもいます。

トゲを気にせずにウニを捕獲し、殻を割って食べてしまう人間がウニにとっては一番の天敵かもしれません。

 

食材データ

種類:棘皮動物類
旬の季節:

主な効能

保温、冷え性改善
視力低下予防
健脳作用
強壮、強精作用

 

栄養成分

ウニを割れば、その中身は内臓のよう。

それで「海胆」と表記されるようになったとか。

「海栗」は栗のようなイガイガを持つウニにぴったりな表記ですね。

栄養成分は、ウニ100gあたりタンパク質が約16g、脂質が約9g、コレステロールが約300mgの他、カリウム、ビタミンAやビタミンEも含まれています。

ウニは、イソロイシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン、バリン、グリシンなどのたくさんのアミノ酸を含んでいます。

アスパラギン酸、グルタミン酸は旨味成分です。

メチオニンは、肝臓の代謝を良くし、余分な脂質を分解する働きを持ち、アレルギーの原因となるヒスタミンの血中濃度を低下させる作用があります。

ほのかな甘みと旨味を醸し出すグリシンは、体内でコラーゲンを構成するのに役立ち、睡眠の質を高める効果もあるとされます。

それ自体に甘味があるアラニンは、自然由来で安心な食品添加物として利用されます。

アラニンは肝機能を強化し、アルコール分解を早めてくれます。

苦味と多少の甘味を併せ持つバリンは、筋肉強化や疲労回復に働きます。

ビタミンB1、ビタミンB2は抗酸化作用、及び神経や脳の機能を守る働きがありますし、ウニに含まれるリンがビタミンBグループの吸収を助け、エネルギー代謝に重要な役割を果たします。

旨味成分の元であるグルタミン酸には脳の機能活性効果があり、豊富に含まれているビタミンAが皮膚や粘膜を強化するので身体に抵抗力が生まれ、更には眼精疲労の軽減にも役立ちます。

ウニの身が赤褐色なのは、エキノネノン、エキノクローズという色素のためで、保湿効果があるとされています。

皮膚や粘膜強化作用のあるビタミンAと、保湿効果のあるウニ色素との相乗効果により、地元でウニを常食されているだろう海女さん達が、冷たい海中でも平気で潜っていけるのかもしれませんね。

ウニの身は内臓ではなく生殖巣。

滋養強壮効果があります。

体に栄養分を滲み込ませ、精力を高めて身体能力をアップさせます。

口当たりが良く栄養が吸収しやすいので、胃腸が弱っている時や、病人や高齢の方などにもお勧めの食材です。

アルコール分解を促進する成分も多く含まれているので、お酒のおつまみにしても良いでしょう。

貧血に効果のある葉酸も多く含んでいますので、貧血気味の方にも良いですね。

ウニは美味しいだけでなく、栄養面でも大変に優れた食材なのです。

 

特徴

日本はウニ消費国世界一です。

主に食用とされるのは、「バフンウニ」、「エゾバフンウニ」、「キタムラサキウニ」、「アカウニ」、「ムラサキウニ」など。

ウニの加工品は「雲丹」と表記されます。

雲丹の「雲」=「集まる」 、「丹」=「赤い」という意味です。

日本では、縄文時代の貝塚からウニ殻が出土されており、その頃から食べられていたようです。

記述に残るものでは「風土記」が最古とされます。

古代ギリシャの哲学者アリストテレスはウニの口を見て、「ランタンのようだ」と言ったとか。

それが和訳されたことで、「アリストテレスの『提灯』」と言われるようになりました。

「ランタン」と「和風提灯」では少しくニュアンスが違いますが……。

ウニの口の中には白い石灰質の歯が5個あり、主に昆布やホンダワラなどの海藻を齧り取るように食べます。

主食は海藻ですが、ウニは雑食性なので他にも色々な物を餌にします。

海草類がなければ、サンゴやコケムシも食べるとか。

海底に沈んだ魚の死骸に群がるウニを、地元漁師が見かけることもあるそうです。

海藻を食べ荒らし、駆除対象とされていたムラサキウニを捕獲し、廃棄野菜のキャベツなどを餌として与えたところ、甘味のあるウニに成長したそうです。

成長した甘味のあるウニが我々の食卓を潤すのであれば、ウニの旺盛な食欲や雑食性も、まんざら捨てたものではありませんね。

古代ギリシャの哲学者・アリストテレスがウニを食べていたかはわかりませんが、ウニはギリシャでは春の食べ物に位置付けられています。

海鮮レストランでは炭火焼きのウニを食べることができます。

ウニは半分に割って殻ごと出され、その味は日本の濃厚なウニと比べて香りが薄く水っぽいそう。

フランスもウニの消費国です。

チリ、ニュージーランド、フィリピンでも食べられています。

「とろっとして濃厚で旨味のあるウニを食べるのがまさに至福!」と感じる方は多いでしょうが、ウニはコレステロールを多く含みます。

コレステロール値が気になる方は、食べ過ぎないように気をつけましょう。

 

種類

世界にはおよそ900種のウニが生息しており、日本近海ではおよそ140種が挙げられます。

日本近海のウニで主に食用になるのは、「バフンウニ」、「エゾバフンウニ」、「キタムラサキウニ」、「アカウニ」、「ムラサキウニ」などです。

下記に、いくつかのウニの特徴を記します。

バフンウニ

小型のウニ。

トゲは短くみっちりと生えており、全体的に緑っぽいのが特徴。

馬糞に形状が似ていることが名前の由来。

身は濃いオレンジ色で香ばしく、濃厚で甘味が強い。

練りウニの原料に使用される。

高級品として扱われる。

アカウニ

最も美味とされる高値のウニ。

東日本では幻のウニと呼ばれている。

殻は朱色で、身には濃厚な甘みがある。

ムラサキウニと比べ、水深が深いところに生息し、岩の下に潜り込んでいる。

熟練の漁師でも捕獲は難しい。

捕獲作業中に少しでも傷つけると、自らのトゲを全て外して死んでしまう。

超稀少ウニで高級品。

ムラサキウニ

国内で一般的によく見られる種類のウニ。

身は、赤ウニと比べて小さい。

独特の磯の香りがあり、美味。生ウニでも美味しいが、雲丹アワビなどにしても美味。

国内生産量のうち、主な産地としては北海道の積丹、利尻島、礼文島が特に有名です。

世界では、チリ産のウニが漁獲量の半分以上を占めています。

他の輸入先としては、北米やロシアなどがあります。

 

レシピ

ウニの軍艦巻き

ウニはなんといって生食が絶品!

寿司ネタとして軍艦巻きで食べるのもなんともオツですよね。

パクッと豪快に一口で!

 

ウニのパスタ

ウニは洋食レシピともよく合う。

生クリームとの相性も抜群で、ホタテなどと絡めてパスタソースにすれば、これも絶品。

 

うにくらげ

クラゲとウニを合わせた珍味。

コリコリした食感のクラゲと濃厚なウニの旨味が合わさって何とも美味。

熱燗の日本酒とも良く合う。

 

ウニ【雲丹】 身は生殖巣。滋養強壮効果のある日本三大珍味の一つ まとめ

美味しいだけではなく栄養がたっぷり詰まった海からの贈り物、ウニ。

口当たりが柔らかで栄養の吸収も良いので、高齢者や胃腸の弱い方にもお勧めの食材です。

ウニは、なんといっても生食が一番ですが、殻を割って開けてみるまではその状態はわかりません。

生食には鮮度も重要です。

箱詰めして綺麗に並んだウニ粒には、ミョウバンを使って表面を固める処理がされています。

これにより、鮮度が落ちたり、渋味が後味に残ったり、嫌な臭みが出たりします。

やはり、ウニの生食は地元に赴いて食べるのが一番良いと言えましょう。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう