レンコン【蓮根】|「先を見通す!」に懸けた縁起の良い食材

レンコンは、スイレン科ハス属の蓮の肥大した地下茎の部分です。

原産地は中国もしくはインドといわれていますが、現在のところまだわかっていません。

蓮田と呼ばれる泥沼のような場所で栽培されているレンコンは、葉を水面に出し、夏に大きな花を咲かせ、冬になれば泥の中の肥大した地下茎を食用にするため掘り出します。

レンコンには、なぜ穴が開いているのでしょう?

呼吸をするための通気口の役割を果たしているからです。

泥沼の中では、地下茎が呼吸をするための酸素が少ないのです。

そのため、レンコンに開いたたくさんの穴が水上の空気を取り込んで地下茎まで通じるようになっているのです。

この穴を覗いて先を見通せることから「先を見通す!」縁起の良い食材としてお正月やお祝いの席に重宝されています。

こんな昔話(笑い話)があります。

 

「初めて町に出かけた山里の庄屋の息子が知人の家で御馳走になった。並べられた御馳走の中に、見たこともない料理『レンコンの輪切り』があった。息子が不思議そうなのを見てとり、連れの男が『これはレンコン。蓮の根っこだよ』と親切に耳打ちしてくれた。だが、知らなかったのを馬鹿にされると思った庄屋の息子は言い返した。『わかってるよ。でもまあ、よくもこんなにたくさんの穴を開けたもんだ。料理するのが大変だったろうに!』」

また、レンコンにはこんな逸話もあります。

およそ三百五十年前、肥後細川家初代忠利公は常々病弱な体で悩んでいました。

羅漢寺玄宅和尚が「何か栄養のあるものを」と調べてみたところ、レンコンに健康効果があることを知ってお勧めしました。

辛子れんこん

ですが、泥の中で育ったレンコンを不浄のものと考えた忠利公は箸をつけず、一計を案じた和尚は麦味噌に和辛子粉を混ぜたものを蓮根の穴に詰め、衣をつけて油で揚げ、それを忠利公に献上しました。

これが辛子レンコンの由来といわれています。

忠利公は常食するほど気に入り、病弱な体もみるみる健康になりました。

輪切りにしたレンコンが細川家の家紋「九曜の紋」に似ていたというのもよく知られている話です。

 

食材データ

種類:根菜類
旬の季節:秋~冬

主な効能

胃潰瘍、十二指腸潰瘍の改善
鼻血の止血効果

 

栄養成分

レンコン

レンコンの可食部のおよそ80%は水分で、残りは炭水化物がおよそ17%、タンパク質がおよそ2%、ほかに食物繊維(水溶性食物繊維と不溶性食物繊維)などが含まれています。

不溶性食物繊維の割合が多く、レンコンを食べ過ぎるとかえって便秘になる傾向があります。

水溶性ビタミンであるビタミンCを豊富に含み、ミネラルではマンガン含有量が多いです。

また、貧血の改善に必要な鉄も多く含まれています。

特徴的な成分として、「ムチン」や「タンニン」があります。

レンコンを切ったときに粘りが出るのはムチンのせいです。

ドライアイを予防したり、胃炎や胃潰瘍を予防する効果があるとされます。

※ムチンに関する指摘コメントを頂きましたので訂正いたします。
昨年あたりからこのムチンについて誤解があると論文で発表されたと聞き及んでいましたが、様々な辞書の多くは「動植物より分泌される粘質物一般をいう」と記載があり、厚労省などからも訂正を求めるような発表はありませんでした。
そのため、丑田公規教授の論文発表による過程として認識していましたが、コメントの資料によると訂正が進んでいるようですので、本サイトにおいても訂正させていただく運びとなりました。
詳しい資料は下の、池田様のコメントに記載されていますので参考にしてください。
ご指摘ありがとうございました。

ポリフェノールの一種であるタンニンは、レンコンが黒ずむ原因となる「アク」の成分です。

口に含むと強い渋みを感じます。

収れん作用を持っており、化粧品などにも配合され、利用されています。

また、抗酸化力も持っており、生活習慣病の予防と改善効果や、下痢を改善する効果もあります。

但し、タンニンを含む食材を過剰摂取すると胃腸が刺激され、かえって下痢になるともいわれています。

抜歯後、出血が止まらない時に、ガーゼの間に日本茶や紅茶のティーバッグをはさんで噛んでおくと、タンニン酸により止血しやすくなるといいます。

江戸時代の『日養食鑑』という文献に、「レンコンは胃を開き、食を消し酒毒を解し、産後の血分の病、また吐血、下血、喀血を治す」と記載されているとのことで、現代の科学的見地にも当てはまっています。

 

特徴

レンコン

蓮根を一番美味しく食べられるのは、秋の終わりから冬の寒い季節です。

購入の際は、表面に色ムラや傷がなく、厚みと重みのあるレンコンを選びましょう。

切り口が白く瑞々しく、穴の大きさが揃っているものほど良品です。

穴の中が黒ずんでいるレンコンは鮮度が落ちているので避けましょう。

調理の際に厄介なのがレンコンの酸化です。

皮を剥いたまま置いておくと酸化して、白色から褐色に変わります。

酸化を防ぐには、皮を剥いたら水または酢水に浸けておきましょう。

薄く切ったレモンを数枚入れておくのも良いでしょう。

 

種類

蓮根

市場に出回っている多くのレンコンは中国産です。

国内産地は、茨城県、徳島県、佐賀県、愛知県、山口県、新潟県、熊本県などです。

レンコンには、「中国種」と「在来種」の2つの種類があります。

中国種(または中国種との交配種)には、「金澄」などの品種があります。

在来種には、石川県で栽培される「加賀レンコン」という品種があります。

 

レシピ

レンコンの天ぷら

レンコンの成分には脂質がほとんど無く、油を使用した調理法と相性が良い。

天ぷらの衣や揚げ時間により、レンコンの食感に差が出る。

天ぷらのほか、挽肉などのはさみ揚げや、串カツ、レンコンチップス、レンコンの揚げ団子などの調理法にしても美味しい。

 

酢レンコン

レンコンの「酢漬け」や「酢の物」のこと。

箸休めにちょうど良い。

正月料理のおせちやちらし寿司はもちろん、サラダにすることもできる。

 

レンコン【蓮根】 「先を見通す!」に懸けた縁起の良い食材 まとめ

たくさんの穴が開いていることから「先を見通す」とされ、縁起物の食材でもあるレンコン。

胃腸を健康に保ちたい方や、便秘で悩んでいる方にお勧めの食材です。

但し、レンコンには不溶性食物繊維の量が水溶性食物繊維より多いので、過食すれば、かえって便秘傾向に陥る場合があります。

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