タマネギ【玉葱】|アリシンが血液をサラサラに。疲労回復効果も

タマネギはネギ属の多年草で、球根が野菜として食用されます。

タマネギの汁は、それほど強くない抗生物質です。

スパゲッティソースやシチューに入れて風味を添えるだけでなく、ビタミンやミネラルも豊富なタマネギを食べることで、治癒力や健康促進作用にも効果があると認識されています。

そのパワーは古くから知られていたようで、同じくネギ属の多年草であるニンニクと共に、タマネギは紀元前のエジプト王朝期の建設現場で働く労働者に配られていたそうです。

古代ギリシャではオリンピック競技出場希望の選手がタマネギを食べていたそうですし、古代ローマの剣闘士はタマネギ汁で体をマッサージした後に闘技場に入場したといいます。

また、メンタル面でも、強烈な刺激臭と味を持つネギ属(タマネギやニンニク)を食べることなどにより、悪霊や吸血鬼や疫病などから身を守る効果があると信じられてきました。

米国の南北戦争時代、タマネギ汁は銃創治療には欠かせないものでした。

北軍グラント将軍は、タマネギを切らした際、「タマネギが無い限り私の軍隊は動かさない!」という文書をワシントン陸軍省に送りつけ、陸軍省はすぐさま荷車3台分のタマネギを送ったそうです。

タマネギの汁はそれほど強くない抗生物質なので、医薬品代わりとはいかないまでも、その当時にとってはベストな対処法だったのでしょう。

「無味無臭」と思われている宇宙ですが、各国の宇宙飛行士が集う国際宇宙ステーションの居住棟には様々な匂いがするそうです。

ロシア居住棟は野菜の匂い。

ロシア宇宙食には野菜を使った煮込み料理が多いからだそう。

また、ロシア人飛行士が地球から貨物船が到着する際、生タマネギをかぶりつくので、大まかに「野菜の匂い」を感じるのではなく、具体的に「タマネギの匂い」と感じることもあるそうです。

 

食材データ

種類:根菜類
旬の季節:春・秋

主な効能

強壮作用
糖尿病、高血圧、血栓症の予防と改善

 

栄養成分

タマネギ

タマネギには硫化アリルという成分が含まれています。

タマネギを切った時に目が痛くてたまらなくなるのは、硫化アリルが揮発性催涙物質であるせいです。

この成分が鼻や目の粘膜に触れて刺激するので涙が出てくるのです。

噛んだ際の辛み成分も硫化アリルの刺激が原因です。

硫化アリルの中でも代表的な成分が「アリイン」というもので、分解されることで「アリシン」という物質に変わります。

「アリシン」には強力な殺菌作用があるため、寄生虫の駆除、殺菌、防腐(病原性のカビ)などに効果を発揮します。

漢方学的には、タマネギは「滞っているものを発散し、気血を巡らせる」ので、発汗や利尿を促し、冷え性、花粉症、去痰や鼻炎、風邪、疲労、関節痛、耳鳴りや痒みなどに効果があるとされます。

但し、「水毒」の症の場合、身体を温めるためには、新タマネギではなく黄タマネギでなければなりません。

タマネギに含まれる「アリシン」が血液をサラサラにし、血栓予防に働きかけます。

また、タマネギに含まれているアミノ酸の一種が肝機能を強化し、体内の解毒(デトックス)に働きかけます。

タマネギの茶色い皮の部分には、非常に強力な抗酸化作用を持つポリフェノールの一種「ケルセチン」が豊富に含まれており、アレルギー性鼻炎や花粉症を始めとするアレルギー抑制(抗ヒスタミン作用)に効果があります。

タマネギには、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどのビタミン群が含まれています。

前述の「アリシン」がビタミンB1と結合することにより、疲労回復効果がアップします。

特筆すべき栄養素は、ビタミンB6とビタミンCです。

ビタミンB6は皮膚や粘膜の健康維持に働きかけ、アレルギー症状の緩和の効果がありますし、ビタミンCは抗酸化作用があり、免疫力を高めて美肌や風邪予防に効果があります。

タマネギに豊富に含まれる「アリシン」が血液をサラサラにするので、脳血栓や心筋梗塞、高血圧などの病の予防や改善に役立ちます。

グルコキニンという含有成分が血糖降下作用を及ぼすと言われていますが、「タマネギ抽出物を動物に注射した研究結果」という但し書きがあるそうで、人間に対して同様の結果を及ぼすかどうかはこれからの研究に委ねられます。

欧米では、スポーツ選手など体力消耗が激しい人たちがタマネギを常食するそうです。

食べ続けることで肝機能強化や体内解毒作用(デトックス)を狙い、前述の「アリシン」がビタミンB1と結合することによる、めざましい疲労回復効果を得る……などが目的でしょう。

ですが、生タマネギは刺激が強すぎるので、食べ過ぎには注意しましょう。

「タマネギを食べたいけれど、口臭が気になる」と言って、食べない人も多いでしょう。

確かに、タマネギを含むネギ属(ニラ、 ニンニクなど)を食べると独特の口臭が後々までついて回ります。

これもタマネギに含まれる「アリシン」という成分が原因です。

自分の口臭に本人が気づいているのだから、勿論、周りの人も気づいているはずです。

「タマネギを加熱調理する」、「水にさらしてから食べる」、という予防措置の他、食べてしまった後の口臭には牛乳、リンゴ、緑茶などで対処すれば、多少は軽減されるはずです。

 

特徴

新タマネギ

収穫したタマネギの表皮を乾燥させておけば長期保存が可能(常温で数カ月程度)です。

酵素欠損による不耐症でなければ、大多数の人には無害……とされますが、生タマネギを食べて(加熱調理したタマネギでも)、吐き気やめまい、頭痛、腹痛、下痢などの症状を起こす人も多いです。

生タマネギはイチゴ程の糖度を持っていますが、辛みが強いので食べると辛く感じます。

辛味は加熱すると消失し、甘みとコクが出ます。

タマネギを購入する際は、表面の皮がしっかりと乾燥しており、ツヤツヤして、ふっくらと丸みがあるものを選びましょう。

中心の芽が頭の先から出ているタマネギは風味が落ちています。

ひげ根が長く伸びてしまったタマネギは、栄養価が損なわれています。

触って中身が柔らかい感じのタマネギは腐っているかもしれません。

固く重みのあるタマネギが良品です。

タマネギのヌメリ成分には精神安定作用があり、大きめに刻んだタマネギを枕元に置いて寝ると安眠効果があるといいます。

くれぐれも、細かく刻んだりしないように。

逆に目が痛くて涙が出て眠れなくなります。

風邪症状がある場合、タマネギのみじん切りを入れた熱い味噌汁を飲むと症状が緩和するそうですよ。

 

種類

紫タマネギ
赤タマネギ

世界では、中国、インド、アメリカ、イラン、ロシアなどが生産地です。

国内では、北海道、佐賀県、兵庫県などです。

アメリカ、オーストラリア、台湾などから輸入しているタマネギも多いです。

タマネギの品種は、「辛み品種」と「生食向きの甘み品種」の2種類に大別でき、国内栽培品種は大半が「辛み品種」です。

「辛み品種」には、「黄タマネギ」、「葉タマネギ」、「ペコロス」などの種類があり、「甘み品種」には「白タマネギ」、「赤タマネギ(紫タマネギ)」などがあります。

 

レシピ

オニオンスープ

スープベースはブイヨンでもコンソメでも可。

刻んで飴色になるまで炒めたオニオンスープが主流だが、芯まで火を通したタマネギを丸ごと使っても良い。

このスープにフランスパン(無い場合は食パンでも)とチーズを載せれば、オニオングラタンスープになる。

オニオンスープ

 

オニオンリング

ファーストフードのハンバーガーのお供に、フライドポテトと同様、人気があるオニオンリング。

加熱して甘味のあるタマネギのリングフライは、おやつ感覚で食べられる。

オニオンリングフライ

 

タマネギ【玉葱】 アリシンが血液をサラサラに。疲労回復効果も まとめ

タマネギに含まれる硫化アリルが分解されてアリシンに変わり、血液をサラサラにして動脈硬化などの血管関連の病気を予防します。

アリシンがビタミンB1と結合し、効率の良い疲労回復に働きかけます。

生タマネギにアリシンの効果がありますが、加熱したり、水にさらしたりすることで薄れます。

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